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文化と文明2(現代文明の基礎) -なぜ・なにを・どう学ぶのか-

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2-2.現代文明の基礎

現代文明の基礎には学問があります。現代文明における個別の学問の価値については、次章において詳しく説明したいと思います。しかし、残念ながら、現代文明の要となる学問の礎を築いたのは日本ではありません。法律も数学も科学も、主に、明治時代に西洋から日本へ導入されました。当然のことながら、それらの学問の現代社会における恩恵を否定するわけにはいきません。そうであるならば、これらをより深く知るには西洋の原典を学ぶように心がけるしかありません。

初めに、残念ながらと書きましたが、実際には何も残念なことはありません。文明、とくに優れた学問や宗教には国境というものがありません。どこから生まれたかよりも、今、どこが受け入れ、育んでいるかの方が大事なのだと思います。洋の東西を意識するほど、空しいことはないのだろうと感じています。優れた学問や宗教を自分たちのもの、あるいは、彼らのものとする価値観ほど、それらに対してよく理解せず、偏見に覆われた態度はないのではないかと思います。

実際に、西洋文明の大きな源流はギリシャ文明とキリスト教にありますが、ギリシャ文明はローマに引き継がれヨーロッパの文明として栄え、例えば、現在のアメリカ合衆国にはその継承者としての自負があるように思いますが、ギリシャとの実際の人種的、地理的な関係はほとんどありませんし、そのような点に重きを置いているわけではなかろうと思います。それは、ギリシャ文明を受容したローマでさえ、その辺境においては大きな違いを感じません。たしかにローマによる被征服の事実はありますが、その優れた点を評価して積極的に文物を受容していったというのが正しい捉え方と思います。さらに言えば、中世においてギリシャ文明の中核となる学問はヨーロッパでは下火となり、イスラム社会に移行した上で、ヨーロッパではルネサンスによりギリシャ的な学問が再興したわけです。

西洋文明のもう一つの大きな源流のキリスト教について言えば、キリスト教は、そもそもが中東パレスチナで発祥した宗教で、もともとユダヤ人から始まった宗教であり、それ以外の民族はすべて異邦人という扱いになります。たしかにキリスト教は、ローマ市民権を持つ聖パウロの働きに象徴されるように、ローマの辺境の地からローマ社会に受容されて行きましたが、キリストも12使徒もユダヤ人ではありましたが、ローマ人ではありませんでした。ヨーロッパの人々か、アフリカの人々か、アジアの人々か、などは、キリスト教の世界観においてはまったく意味がないのであろうと思います。このような西洋文明の歴史的な変遷を考えても、やはり、文明はどこで発祥されたかよりも、今、どこが受け入れ、発展させているのかという事実の方が大事なのだと思います。

繰り返しになりますが、たしかにギリシャの学問を継承し、近代における目覚ましい学問の発展を育んだのはヨーロッパなので、その原典から学ぶことはたくさんあります。日本の過去を学ぶことは自国民として当然ですが、この現代文明の基礎をなす学問的な系譜を無視することはできません。優れた文明はすべての民族に平等に門戸を開いていると知り、今を生きているあなたが、日本が、現代文明の特長をより深く継承し、発展させた一人として、平和を愛する文明国として、歴史に残ることを願っています。

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公開日時:2016年8月31日
最終修正日:2018年1月8日