学問と論理5(その他の学問、合理主義、論理の必要性) -なぜ・なにを・どう学ぶのか-

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3-1-1-3.その他の学問、合理主義、論理の必要性

その他に一つ重要な学問として学んでおくと良いと私が思う学問は経済学です。世の中で人々が最も振り回され、困らされるのが経済、お金や物だと思います。お金と物、いかに好もうと好まざるともこれを誠実に取り扱う責任が人にはあると思います。個々人の生活を営む上でも、組織的・政治的な判断においても、多くの場合、経済に裏打ちされた綿密な判断が必要とされます。企業活動を営む上で、経済的な知識が不可欠であることは言うまでもないことと思いますが、ほとんどの人々が企業の一員として働く現代社会においては、経済学を学ぶ必要性がより高まっていると感じています。

経済学とは、価値を計算し公平な利益配分を考慮しながら、原則的に法律に基づいて物を生産して受け渡しすることであると思います。そこでは主に、お金や物の価値を計算するための数学が必要であり、お金や物を生産したり、受け渡しするための法律の知識が必要になります。さらに、これが最も難しい点ですが、公平な利益配分のためには、市場原理のみに依拠せず、多様な視点からの道徳的な配慮も必要かと思います。つまり、人と物の両方を研究対象とする経済学は、経済学を学ぶ以前に、人や物についてのより深い洞察を得るために、必須と思われる数学や法律の両方を学ぶ必要性があるのみならず、さらには、現代社会の人と物の動きに影響を及ぼす道徳や宗教を含めた様々な学問を学ぶ必要があり、経済学には現代社会における深い教養が必要であろうと思います。したがって、経済学を学ぶ以前に、数学、科学、法律を中心とする諸学問を一通り学んでおくことが、経済学を学ぶ上では重要になるのではないかと思います。

現代社会の人や物の動きは、気象のように複雑極まる現象であるため、経済学は科学の面では未だに検証手段の乏しい側面があり、社会学的な不確実な仮定に基づいた主張も多く、主張の確実性には注意して学ぶべき学問であると思います。例えば、経済学の応用面においては、恣意的な根拠を並べ立てて、確率的な言及もなしに株価予想を発表する経済アナリストもいますし、発表されたばかりの新しい論文を自らの政策判断の根拠として後付けで言及してしまう日銀総裁もいます。医学であれば、臨床研究や治験には患者の同意が必要とされますが、国民経済を預かる日銀総裁には、どのような金融政策を行う上でもそのような手続きは制度的に未整備です。将来的には、日銀による金融政策の限界と役割、政府の経済政策の限界と役割が改めて見直される時期が来ることと思いますが、政治と同じく、金融や経済の制度には数多くの非合理な側面が存在しており、その矛盾を鋭敏に捉え、改善していく取り組みが期待されています。というのは、金融・経済政策は数学、計算機科学の発展に伴い、今後大いに進展が可能な分野であろうと予想するからです。

経済学を学ぶ必要性を指摘するには、以上のような範疇では収まりませんが、その他の学問も現代社会を支える点においては、その必要性を疑う余地はありません。しかしながら、法律と科学については、これまでの説明の通り、とりわけ現代社会において重要な枠割を果たしている学問なので、一般市民の誰もがそれを学ぶ必要性があるものと感じています。ただ、法律と科学の必要性を説明した文中でも言及しましたが、たんに法律や科学の知識を学ぶことだけが重要なのではなく、それを下支えする考え方、考える方法論を身に付けることが最も重要なのだと思います。それは、現代社会において「合理的に考えなさい」「論理的に考えなさい」あるいは「科学的に考えなさい」という言葉が頻繁に用いられるように、それらの言葉の中で意図される合理主義、一歩進んで論理という概念を学び、身に付けることだと思います。

実際に、現代社会を構成する、道徳や宗教を含まない狭い意味での学問全体、とくに科学や法律は、合理主義や論理といった考え方によって、その根底を支えられています。そこで、次に合理主義や論理とは何か、を具体的に説明していきたいと思います。さらに、その後に科学と法律の基本的な考え方を改めて説明することで、現代社会の様々な学問に入門する上で、重要であり基礎となる知識の体系を学ぶことができるようにしたいと思います。何事も基礎を知れば導入も早く、大きな成長を期待できると思うからです。




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公開日時:2016年8月27日
修正日時:2017年3月17日 章立てを追加。「民主主義とリベラル・アーツ」を修正。
修正日時:2018年3月02日 新しい内容を追加して、ページを分割。
最終修正日:2018年3月02日

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