交換子群について

ガロア理論の柱の一つである可解群を構成する交換子群について、基本を説明する。交換子群はあくまで交換子全体によって生成される部分群であり、交換子でない元を含んでいても良い。さらに、交換子群D(G)が群Gの正規部分群となることを丁寧に説明する。

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数学を好きな多くの方が、方程式の一般的な解の公式が4次までしかなく、5次以上の方程式の一般的な解の公式はないということを知っていて、その証明を行うガロア理論について、そのガロアという青年の生涯と共に、一度は興味をお持ちになったことがあると思います。

ここでは、ガロア理論の柱の一つである可解群を構成する交換子群について、初めて群論を学んだ時につまずいた記憶があるので、簡単に説明したいと思います。これは私の勉強でもあるので、内容に間違いがありましたらご指摘頂ければ幸いです。

代数学〈1〉群と環 (大学数学の入門)の交換子群の定義周辺を引用させていただきますと、

P.37、定義1.81
交換子全体\(\{[x,y]\,|\,x,y\in G\}\)で生成される部分群を\(G\)の交換子群(Commutator subgroup)といい\(D(G)\)と書く.

\(G\ni x,y,z\)に対し、
\[z[x,y]z^{-1}\,=\,[zxz^{-1},zyz^{-1}]\]
が成り立つから、
\[G\triangleright D(G)\]
となる。

交換子群の定義のポイントは、交換子全体については必ずしも群になるのではなく、あくまで\(G\)の部分集合であることです。つまり、交換子群は交換子全体の部分集合から“生成される”部分群であることです。初め、交換子が群として閉じてるのかなと勘違いして、一生懸命に演算を工夫してみて損をした記憶があります。交換子群はあくまで交換子全体によって生成される部分群であるので、交換子でない元を含んでいても良いのです。

代数学〈1〉群と環 (大学数学の入門)の群の部分集合から生成される部分群の定義について一部引用させていただきますと、

P.5、
群\(G\)の部分集合\(S\)に対し、\(S\)を含む最小の部分群を\(\langle S\rangle\)と書き、\(S\)から生成される部分群という.
\[\langle S\rangle\,=\,\{a^{n_1}_1 a^{n_2}_2 \cdot\cdot\cdot a^{n_r}_r\,|\,a_i\in S,\, n_i\in Z,\,1\leq i\leq r,\,r:1以上の整数 \}\]




さて、先述の通り、交換子群\(D(G)\)は群\(G\)の正規部分群となるのですが、私が初めて読んだ教科書でも代数学〈1〉群と環 (大学数学の入門)P.37以上の解説はなかったものと記憶していて、この分量の解説だけでは私と同じようにすぐに理解できない方もいると思うので説明を補足します。

交換子群\(D(G)\)が群\(G\)の正規部分群であることを証明するには、
交換子群\(D(G)\)の任意の元\(a^{n_1}_1 a^{n_2}_2 \cdot\cdot\cdot a^{n_r}_r\)について、
\[z a^{n_1}_1 a^{n_2}_2 \cdot\cdot\cdot a^{n_r}_r z^{-1}\in D(G)\]
を示せばよく、ここでのポイントは\(z^{-1} z=e\)より、任意の元の積の間に\(z^{-1} z\)を挟み込むことができるということで、
\[z a^{n_1}_1 a^{n_2}_2\, \cdot\cdot\cdot\, a^{n_r}_r z^{-1}\,=\,z a_1 z^{-1} z a_1 z^{-1} z\, \cdot\cdot\cdot\, z^{-1} z a_2 z^{-1} z a_2 z^{-1} z\, \cdot\cdot\cdot\, z^{-1} z a_r z^{-1} z a_r z^{-1} z\, \cdot\cdot\cdot\, z^{-1} z a_r z^{-1}\]
となります。
そこで、\(z a_i z^{-1}\,(1\leq i\leq r)\)が交換子であれば、その積である上式が交換子群の元となることが言え、
ここから、代数学〈1〉群と環 (大学数学の入門)P.37の証明に続いていきます。

\(z[x,y]z^{-1}\,=\,[zxz^{-1},zyz^{-1}]\)のポイントは、先ほどの任意の元の積の間に\(z^{-1} z\)を挟み込むことができることと、
\(zx z^{-1}\)の逆元が、単純に\(zx^{-1} z^{-1}\)になるということです。
つまり、

\[z[x,y]z^{-1}\,=\,zxy x^{-1} y^{-1} z^{-1}\,=\,zx z^{-1} z y z^{-1} z x^{-1} z^{-1} z y^{-1} z^{-1} \\ \\ =\,(zx z^{-1})( z y z^{-1}) (z x^{-1} z^{-1}) (z y^{-1} z^{-1})\,=\,[zxz^{-1},zyz^{-1}]\]

これで、交換子\(a_i\)の\(z a_i z^{-1}\,(1\leq i\leq r)\)が交換子であることが言え、
交換子群\(D(G)\)が群\(G\)の正規部分群となることが言えました。   □

かなり丁寧に行間を埋める説明をしましたが、理解のお役に立てれば幸いです。

公開日:2017/11/1
最終修正日:2017/11/1

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